アメリカ在住の台湾人 アンディ チャン氏が正論を述べておられます。
是非皆様にご紹介したく、「台湾の声」より転載します。
【論説】姑息な政府の尖閣問題対応 アンディ チャン
尖閣諸島でまた事件が発生した。私は尖閣諸島の領有権について前にも
何度も書いてきたが、政府が領有権問題で姑息な態度を取るから事件が
二度三度と起きるのである。
尖閣諸島が日本の領土であることは国際法上で明らかである。自国の領
海内に侵入してきた船舶は拿捕、追放、撃沈しても構わないはずだ。こ
のような事件が再び発生しないようにするには、日本政府が諸関係国に
領海侵入を厳禁すると通達すべきである。
台湾人の9割が尖閣諸島は台湾の領土と思っている。間違ったメディア
の宣伝もあるが、狡猾な中国人のやり口で、勝手な主張を繰り返してい
れば何らかの利得があると人民に思い込ませ、間違った愛国心を煽るか
らだ。
台湾政府が意図的に中国を後ろ盾にして尖閣問題を複雑にしているが、
違法侵入で損害を蒙るのは自業自得であることを明確に知らしめるべき
だ。台湾政府は国民を保護する義務がある。今後の行動を慎むよう、日
本の外交部が台湾政府に通達するのが外交部の使命といえる。
●国際法上から見た尖閣諸島の帰属
尖閣諸島の帰属について簡単に書くと、尖閣諸島の帰属について歴史的
に以下のような発展があった。
1.1945年以前の古い尖閣諸島の帰属については既に明らかな記述が
ある。
2.尖閣諸島の帰属はカイロ公報に入っていない。ポツダム宣言にも記
入がない。筆者が前に書いたように、カイロ会議で討議されたというエ
ピソードはある。
3.サンフランシスコ条約で日本は台湾澎湖の権原を「放棄」したが、
尖閣諸島について権限を放棄した記述はない。
4.1953年12月25日、琉球諸島を占領していた米軍占領当局は「民政
府広告大27号(Civil Administration Proclamation No.27)」で尖閣
諸島を琉球の統治範囲に記述した。
5.このため1972年の沖縄返還で米国政府が沖縄諸島を日本政府に返
還した際に、尖閣諸島は沖縄領土の範囲内に明記した。
6.尖閣諸島の領有権について蒋介石政権が台湾の古い史料を使って
領有権を主張しだしたのは、1969年ごろ、この地域に海底石油があるの
がわかってからである。
7.1970年9月9日に日米間で沖縄返還の協議が行われ、台湾では始め
て尖閣諸島の抗議運動、いわゆる「保釣運動」が起きた。いまでも台湾
人や蒋系中国人の殆どが尖閣諸島は台湾の領土であると信じて疑わない。
しかし沖縄領に反対する法的証拠はない。
8.「保釣運動」でアメリカのボストンに留学していた国民党のスパイ、
馬英九が「保釣論文」を書いたので、これが馬英九の栄達の原因となっ
た。
9.中華民国の歴代総統のうち、李登輝総統は尖閣諸島が日本の領土で
あると認めていた。陳水扁総統は領土問題を棚上げして漁業権の討論を
日本政府と交渉していた。そして馬英九のなると再び国民を使って尖閣
問題を起したと思われる。
●台湾の海事法について
台湾(中華民国)の遊漁船は「娯楽漁業管理法」で漁業、観光の航海範囲
を制限されており、台湾本島、及び所属の小島などの周辺十二海里以内
のみで観光船の操業を許可されている。遠洋漁業はこの法律に制限され
ていない。
つまりこのたびの事件で、遠く離れた尖閣諸島まで遊漁船が航行して日
本の領海内に入り込んだ事件は、船長が何者かに唆されて尖閣諸島領海
に入り込んだ可能性も排除できない。
但し、今回のような明文化された漁業管理法に違反する操作を行った場
合、事故が起きれば保険金は貰えない。台湾当局が繰り返し日本側に謝
罪と賠償を要求する理由もここにあるのではないか。
●漁夫の利を占める中国の外交政策
中国は尖閣沖で漁船衝突が発生したあと、すぐに尖閣諸島の領有権の声
明と日本政府に対する抗議を発表した。つまり台湾の漁船が起した問題
でもあたかも「自国の国民が損害を蒙った」かのように見せかけ、尖閣
諸島の領土権を主張しているのである。
今回の事件を起した漁船の行動には、中国が後ろ盾となっていた可能性
も見逃せない。事件が起きて日本と台湾当局が交渉に入れば最も有利に
なるのが中国当局である。中国の尖閣諸島の領土に対する主張はすべて
「台湾は中国の領土、尖閣は台湾の領土だから中国の領土」という三段
跳び論法しか持っていないからである。
中国は既に尖閣諸島付近で石油の掘削と採油を始めているので、最近に
なって中国接近を開始した馬英九政権を使って領海内で問題を起せば日
本と中国の石油採掘交渉で有利な立場を取れると踏んでいるのだ。
●中華民国は尖閣諸島が日本領と承認していた
尖閣の領有権を巡っていろいろな歴史関係、国際法関係などの議論がな
されているが、尖閣諸島の領有権が日本にあることは中華民国政府が古
い昔から承認していたという一級史料がある。
史料は1996年9月23日の産経新聞に報道された、「大正8年(1919年)
尖閣列島に漂着した中国福建省の31名の漁民を救助した石垣島漁民に
対し、中華民国駐長崎領事・馮冕が感謝状を贈呈した」という記事に詳
しく書いてある。
この記事で注目されるのは、中国人が尖閣沖で遭難し、石垣島の漁民に
救助されたのち、中華民国政府の長崎領事が大正9年(1920年)に贈呈
した感謝状に「日本帝国八重山郡尖閣列島」と明記してあることだ。
報道によると、感謝状は当時の豊川石垣村長・・豊川善佐(善次)、助役・
玉代勢孫伴、通訳・松葉ロブナストなど4名に贈呈されたと報道してあ
ったが、その後すぐ5名に感謝状が贈呈されたことがわかった。
第5の感謝状は、西表島の「波の上炭鉱(林本源経営)」に勤務していた
廖徳聡氏に贈呈したものである。
廖徳聡氏は私の尊敬する先輩、廖継思氏のご父君で、感謝状の文面には
「日本帝国八重山郡石垣村廖徳聡君熱心救護得生還故国・・・・」と書いて
あり、石垣村の助役、玉代勢氏への感謝状と同じ文面であるが、宛名の
所は各々の名前が書かれ、「玉代勢君熱心救護・・・」となっている。廖継
思さんは現在85歳、台北市に住んでいる。
廖継思さんから送ってきた史料のうち、廖徳聡氏の個人履歴書には
「大正9年5月20日、福建省恵安県漁民、鄭合順等31人漂着シタルヲ
救助セシヲ以テ、新中華民国駐長崎領事馮冕ヨリ感謝状ヲ受ク」
と書いた記述がある。これは産経新聞、石垣島の八重山毎日新聞の記述
よりも少し詳しい。
●尖閣諸島で事件の再発を防ぐには
尖閣諸島の領有権を巡って台湾や中国が勝手な主張を始めたのは69年
ごろ海底石油の開発が可能になった時期からである。筆者は当時アメリ
カの石油探鉱会社の勤めていたので、台湾に派遣されてこの地区の開発
や主張についていろいろ見聞したこともあった。
台湾側、中国側の主張には法的根拠がない。日本の主張には沖縄返還の
際に返還した領土範囲を明文化して記述してある。つまり、国際法上の
領有権は沖縄に所属している領土である。
たとえ領土問題が未解決だとしても、北方領土で日本の漁船がロシアに
拿捕されれば船は没収され、船長は逮捕される。日本の領土内に侵入し
た漁船が沈没しても賠償する必要があるのか、甚だ疑問に思う。
日本政府は尖閣諸島の権限について、領海内に侵入した漁船は拿捕する
ことを明確に関連諸国に通達し、このような事件が以後起こらないよう
にすべきである。
中国は台湾の権限をもっていないし、尖閣については論外だが、理由も
なく勝手に主張を繰り返している。日本は主権を持っていながら自国領
土の保護を明言しない。姑息な態度が相手に横暴な態度をとらせる結果
となるのだ。
中国や中華民国は国民の安全を保護するような国ではない。逆に国民を
教唆して事件を起させ、結果として「労民傷財」を招く。日本政府が如
何なる領海への侵入も許さぬと声明を出すのが将来のトラブルを防止す
る最良策で、これによって両国間の摩擦をなくし、国際友好を継続させ
るものと確信する。