老兵の独り言

八尾市をはじめとする全国での左翼情報チェックと真正保守の陣営拡大を願っています。 国連をはじめとする人権条約を基礎とする国内法の点検と法破棄運動も行っています。

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国際派日本人養成講座 より転載しています。
じっくりと頭を鍛えることが出来る題材ですね。

The Globe Now: 米中石油冷戦と日本の国策

 石油をがぶ飲みする中国が、アメリカの
石油覇権に挑戦している
■転送歓迎■ 無料購読申込・取消: http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/


■1.石油をめぐる国益のぶつかり合いが激しくなる■

 ガソリン価格が高騰している。多くのガソリン・スタンドで
は1リットル170円台を突破し、7月には史上初の180円
台が見込まれている。

 国際的な原油価格の高騰と円安のダブルパンチによるものだ
が、前者は中国・インドなど新興国の需要増と、石油増産余力
の少ないこと、そしてこの需給ギャップを見込んだ投機資金流
入が原因である。投機資金の流れは市場心理や規制などで変わ
る可能性があるが、実態としての需給ギャップは構造的・長期
的な問題である。

 原油高騰は、家電製品・包装容器等に多用されるプラスチッ
ク類、衣類に用いられる化学繊維など広範囲の石油化学製品の
価格高騰を招く。同時にガソリン価格の高騰は、輸送費・交通
費の上昇に直結し、広範囲に物価を押し上げる。

 石油は各国経済の土台をなすだけに、石油をめぐる各国の国
益のぶつかり合いは激しさを増すだろう。その象徴が、世界の
石油支配を覇権の切り札にしてきたアメリカと、石油をがぶ飲
みして経済発展を続けてきた中国の激突である。

■2.加速する石油消費量増加■

 米国エネルギー省の2005年2月3日付け発表によれば、世界
の石油消費量は現在の一日8200万バレルから、2025年には1億
2500万バレルへと、50%以上増える。

 多くの地質学者は、現在の技術では1日の石油産出量は1億
バレルがせいぜいであり、1億2500万バレルを掘り出すには、
新しい技術と膨大な資金が必要だと考えている。

 もちろん今後20年の間には、石油採掘技術も進むだろう。
問題は、需要増大のスピードに供給拡大のスピードが追いつく
かどうかである。

 石油消費量の増加ぶりは近年加速している。1977年に一日
6千万バレルだった石油消費量が、7千万バレルに到達したの
は1995年で18年かかっている。それが8千万バレルになった
のは2003年で、8年しかかかっていない。さらに9千万バレル
に達するには、4,5年しかかからない、と専門家は見ている。
[1,p22]

 この加速する石油消費量の増加は、主にアメリカと中国によ
るものである。

■3.石油をがぶ飲みする「世界の工場」■

 中国の石油消費は2004年時点で、日量670万バレル(世界シェ
ア8.3%)と、米国に次ぐ世界第2位である。前年からの増
加は約90万バレルと年率15%もの伸びで、同年の世界の消
費量増加の36%を占めている。アメリカの増加量シェアは、
20%で、二カ国で世界の増加量の6割近くを占めていること
になる。[2]

 問題なのは、中国のエネルギー効率がきわめて悪いことだ。
GDP(国内総生産)100万ドルを産出するのに、中国は
1600バレルを必要としているが、これは米国の約2倍、日
本の約4倍もの消費量である。しかもこのエネルギー効率は近
年、それほど改善されていない。

 日本のエネルギー効率の高さは、石油ショック以来、現場の
きめ細かな改善活動や省エネ設備の導入などで、営々と築き上
げてきたもので、一朝一夕に中国がコピーできるものではない。

 中国はその人件費の安さから「世界の工場」として製造業を
急速に発展させてきたが、それはエネルギーをがぶ飲みする、
極めて効率の悪い「工場」なのである。エネルギー・コストが
大幅上昇するにつれて、人件費の安さは相殺され、中国製造業
の国際競争力は失われていくだろう。

 それでも中国は今後も石油に頼らざるを得ない。中国のエネ
ルギー源の三分の2は石炭だが、煤煙を取り除く技術・設備の
遅れから大気汚染は深刻な状況となっており、これ以上石炭に
は頼れない。

 また安くて公害の少ない天然ガスは、ガス化装置、輸送パイ
プライン、貯蔵施設などの整備がほとんどできておらず、天然
ガスへの大規模な転換には、膨大な投資と時間がかかる。

 結局、中国は経済発展を続けるためには、高い石油のがぶ飲
みを続けなければならないのである。

■4.中東への侵出■

 その中国は石油を求めて、世界各地でアメリカとの対決を始
めている。イラン、クウェート、サウジアラビアへの接近につ
いては [a]で述べたが、ここで少し補足しておこう。

 中国はイランから大量の石油を輸入している。その見返りに、
イランに原子力発電を中心とした核技術の輸出をしている。核
兵器やミサイルの技術も売っていると、CIAは疑っている。

 イランの核開発疑惑に対して、2004年に国連の安全保障理事
会が現地査察を含めて干渉しようとした時には、中国は常任理
事国の特権を利用してこれを妨害し、その代償としてイランと
の大量の石油取引契約を結んでいる。

 中国は同時に世界最大の石油埋蔵量を誇るサウジアラビアに
触手を伸ばしている。いつのまにかに国立石油企業サウジ・ア
ラコムの株を20%取得し、共同でサウジアラビア国内で製油
施設を作ることになったという。さらに天然資源開発のための
共同事業を開始した。アメリカが同様な提案をした際には、サ
ウジアラビアは色よい返事をしなかった。

 サウジアラビアは親米国であり、アメリカの聖域だと言われ
ていたが、いまや中国寄りに傾きつつある。その原因は、中国
による兵器の供給であると言われている。

 イランはイスラム原理主義者たちによる独裁体制であり、サ
ウジアラビアも王家による独裁下にある。両国が、自由民主主
義国家のアメリカよりも、共産党独裁国家の中国に親しみを感
じるのは、体質的にごく自然なことなのである。

 アメリカの引き起こしたイラク戦争は失敗だったと言われて
いるが、中東の石油産出国でアメリカの覇権下にあるのは、イ
ラクとクウェートだけである。フセイン体制がまだ続いていた
ら、中東全域が中国よりの独裁体制になっていたはずだ。

■5.「アメリカの裏庭」中南米へも■

 南米は「アメリカの裏庭」と言われてきた。アメリカがベネ
ズエラから輸入する原油は、日量120万バレル、石油輸入総
額の12.4%で、カナダ、サウジアラビアに次いで第3位と
なっている。

 しかし、ベネズエラは世界最大の麻薬密輸国であり、麻薬マ
フィアが政治も経済も取り仕切っている。アメリカの情報機関
は、チャベス大統領自身も麻薬組織に関係していると考えてい
る。アメリカは麻薬コネクションを野放しにしているチャベス
大統領を許せないと考えている。

 ベネズエラ国内では、反大統領派が勢力を広げて内戦状態が
長く続いているが、アメリカは反体制派を助け、軍事力で介入
する姿勢をとり続けてきた。

 こうしたアメリカとベネズエラとの確執を見て、中国はすか
さず間に入ってきた。2005年、中国の石油会社がベネズエラ国
内で油田を開発し、製油施設を建設するという契約をチャベス
大統領と結んだ。そこから一日12万バレルを中国に輸出する
というのである。

 しかし中国のタンカーは大きすぎてパナマ運河を通れない。
そこでコロンビアの太平洋側の港まで、石油パイプを敷設する
契約をコロンビア政府と結んだ。

 同時に、中国はもともと共産主義者であるカストロ政権と契
約し、キューバでの製油業に乗り出すことになった。また腐敗
したエクアドル政府とも契約して、石油採掘を行うこととした。
さらに民主主義勢力を弾圧しているペルー政府とも覚書を締結
し、石油・天然ガス建設についての技術援助と資金提供を申し
出ている。

 こうして見ると、中国は中南米の腐敗した政府を支援するこ
とによって、石油を手に入れようとしているのである。

■6.スーダン独裁政府の陰のパトロン■

 中国が独裁国家に接近して石油を得ようとする動きは、アフ
リカでも見られる。

 中国が輸入する石油の7%がスーダンから来ている。中国は
積極的にスーダンでの油田開発に協力し、パイプライン建設に
多大な資本投下を行っている。紅海に至る1400キロのパイ
プライン建設では、この工事に投資しただけでなく、労働者を
装った兵士を多数投入している。

 スーダンではこの20年間、内戦が続いており、大量虐殺も
起こしている。そのスーダン政府に中国は武器を売り、それと
引き換えに石油を輸入しているのである。

 2004年9月、国連の安全保障理事会はスーダン政府が凶悪な
軍事勢力を支援することをやめない場合には経済制裁を行うと
決議した。アメリカの議会関係者の情報によれば、中国はスー
ダン政府などに対して、「(常任理事国としての)拒否権を使っ
て、(経済制裁の)国連決議をつぶしてしまうから」と述べて、
見返りに石油の提供を求めている、という。

 スーダン政府の国民虐殺は世界中から非難されているが、そ
の陰のパトロンになっているのが中国なのである。欧米諸国を
中心に、北京オリンピック・ボイコットの声が上がっているの
は、このためである。

■7.中央アジアを「中国のエネルギー供給基地」とする戦略■

 中国は中央アジアでも暗躍している。カザフスタンとウズベ
キスタンは石油資源、天然ガスに恵まれた地帯である。両国に
はアフガニスタンなどから潜入したイスラム過激派アルカイダ
が政府転覆を謀っていると言われ、そのため従来、両国はアメ
リカのテロリストとの戦いに協力し、同時に石油や天然ガスを
輸出する約束をしていたのだが、そこに中国が介入したのであ
る。

 中国はカザフスタンとは戦略同盟協定を結び、中国への石油
と天然ガスのパイプラインを作る構想を推し進めている。

 ウズベキスタンは、アフガニスタンへの攻撃用にアメリカの
空軍基地を作らせることに同意していた。だが、2005年5月、
ウズベキスタンのイスラム・カリモフ大統領が、民主選挙を求
めて立ち上がった民衆数百人を虐殺した事から、アメリカとの
関係がこじれていく。これはアメリカ側が親米的な民主政府を
作ろうとする工作であった、と言われている。[a]

 アメリカはじめ世界各国はカリモフ大統領を非難し、国際的
な調査を要求した。ところが中国は直ちにカリモフ大統領を支
持し、民衆虐殺をテロリストに対する戦いとして、国際的な調
査に反対する声明を発表した。その数日後、ウズベキスタンか
ら中国に約6億ドルのエネルギーを提供するという条約が結ば
れたのである。

 中央アジアからアメリカを追い出し、「中国へのエネルギー
供給基地」とする戦略は着々と成功しつつある。

■8.米中石油冷戦が始まっている■

 こうして見ると、中国が中東、南米、アフリカ、中央アジア
などの独裁政権に接近し、武器を与え、国連常任理事国として
の庇護を提供して、見返りに石油を購入するという明確な戦略
が見て取れる。それはアメリカの世界戦略へのあからさまな挑
戦なのである。

 2005年7月21日、22日にわたって、アメリカの上下両院
合同で、中国のエネルギー政策に関する公聴会が開かれた。中
国のCNOOC(中国海洋石油公司)によるアメリカの石油企
業ウノカル買収の動きが表面化し、米議会は、これを中国によ
るアメリカのエネルギー戦略への挑戦と激怒して、この日の公
聴会となったのである。

 この公聴会では、エネルギー専門家が上述のような事実を報
告した。それらの意見をまとめると次のような結論となる。
[1,p17]

・中国は、世界各地で石油を確保する努力を続けている。
石油をめぐって世界のあらゆる地点でアメリカと対決を
始めている。

・中国が海軍力をはじめ、核戦力を強化しているのは、将
来起きている石油危機に備えてアメリカと対決しても石
油を確保したいと考えているからである。

 石油を巡る米中の冷戦がすでに始まっているのである。

■9.「危機」を「好機」に変える国策■

 迫り来るエネルギー危機、および、それを前にした米中石油
冷戦にわが国はいかに対応すべきか。日米同盟を基軸として、
中国の膨張政策に歯止めをかける事が、当面の戦略であろう。

 さらに「危機」を「好機」に変え、国家の繁栄と独立、そし
て世界の平和と安定を守るための国策がある。代替エネルギー
の開発である。

 太陽光発電、燃料電池、電気自動車など、石油に依存しない
エネルギー開発で日本は世界をリードしている。また日本近海
に大量に存在する「燃える氷」メタン・ハイドレートは、現在
の天然ガス消費量の百年分はあるとされる[b]。さらに海藻類
や糞尿・下水道汚泥、食品廃棄物などをバイオガスとして再利
用するリサイクル技術の開発も進んでいる[c]。

 こうした代替エネルギー利用のネックは石油対比のコスト高
にあるが、技術進歩によるコスト低下と原油価格の急騰によっ
て、急速に実用的な水準に近づいていくだろう。

 わが国が高価な石油に依存せず、地球環境にも優しい次世代
エネルギー技術を確立できた時、効率の悪い高価な石油エネル
ギーを使い、公害をまき散らしながら生産と消費を続けざるを
得ない国々は、一挙に国際競争力を失ってしまう。

 米国の石油覇権、および中国が世界的に展開している原油開
発投資は意味を失い、米中石油冷戦も雲散霧消してしまうだろ
う。
(文責:伊勢雅臣)

伊勢先生の「国際派日本人の情報ファイル」 より転載しています。

山拓議員外交

■転送歓迎■

 

  【山拓議員外交】

   「国会議員が、交渉を行っている政府よりも甘いことを
   言ってしまったのでは、政府の外交交渉能力を大きく損なう。
   百害あって一利なしだ」 6月18日 安倍元首相


      ★     ★     ★

 私もそう思うのです。安倍さんの主張を山崎拓さんは「幼稚な考
えだ」と批判したそうです。大体「大人の対応」といった時には原
理原則から外れる「現実的対応」が登場します。これも程度問題で
しょう。山崎さんが批難されるのは、彼の現実的対応に不信感を持
たれているからです。

■利権外交

 「百害あって利権ありと言いたくなる。国会議員は国益を考えて
行動すべきだ」(安倍)

 私もそう思うのです。西暦2000年の頃、河野洋平外務大臣が
音頭を取って北朝鮮に援助米を送りました。随分「大見得」を切っ
てやったことなのですが、全く効果がありませんでした。

 当時は米も余っており一種の「廃棄」の代わりになるのなら、と
いう雰囲気もあったと思います。本来は安い外国産の米を贈れば一
石二鳥という所でしょうが、北朝鮮は日本国産米でと注文を付けて
きました。

 これは恐らく日本側が北朝鮮に言わせたのでしょう。美味しいか
らかと思いましたが、実は別の狙いがあったのでした。

■積出港

 援助米の生産地に興味を持ち、積出港を当時調べて意外なことを
知らされました。当然米の大産地でもあり輸送の便利な日本海側の
新潟・秋田県が中心となるものと思っておりました。しかし、パソ
コンの画面に出てきたのは、京都・岡山・神奈川でありました。???

 岡山は地元であり、積出港は玉野でした。なぜ岡山が。。

■答えと仕組み

 その三県の共通項は何でしょうか。ふと出身政治家の名前が浮か
びました。

 「野中・橋本・河野」

 商品を定価で売ることが出来れば大変儲かります。援助米を定価
で売ることで各県の全農は大きな商売を成立させたことになった訳
です。北朝鮮に直接販売すると代金は全く決済されませんが、政府
相手なら即日税金より支払われます。

 政治家達はお金には一度も手を触れませんが、後々地元よりの
「お返し」があるのは明白でありましょう。要するに、北朝鮮の人
道援助を装いながら地元の選挙対策をやったわけです。

 この話には後日談があります。これを地元の居酒屋で話したとき
に、隣の席の人が教えてくれました。あの時突然普通の米袋よりか
なり大きい物の特注が入ってきたそうです。「人間でも入れるたの
かな。。」と言っていました。

■「ホッ、ホッ、ホッ」

 今回の日朝実務者協議の結果はかなり前から準備されていたもの
でしょう。福田さんが首相になったときから随分自信ありげでした
ね。仕上げは、福田訪朝で国交正常化に踏み込む。これで親父さん
の日中正常化に引き続き歴史に名を残すことができるわけです。

 北朝鮮も亜米利加も中国も、福田さんの虚栄心が強い所をうまく
突きました。こういうのを「嵌められた」というのかも知れません。
安倍さんと国民の常識だけが頼りになってきました。

 (引用始)
  新聞とテレビは、「議員外交」や「政党外交」の言葉を
 使うべきではない。議員には、外交を行う権限も責任も与
 えられていないのだ。

 「拉致よりも正常化が重要だ」と言う官僚がいた。また政
 治家の中には「拉致よりも大きな問題がある」と言う人物
 もいた。こうした発言の背後には、拉致を適当に棚上げし
 て正常化すべしとの「本音」が隠されていた。(終)

           重村智計「外交敗北」より

伊勢先生の

国際派日本人養成講座 より転載しています。
加害者天国、被害者地獄
 なぜ被害者よりも加害者の人権ばかり
守ろうとするのか。
■転送歓迎■
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こころのふるさと伊勢神宮で、日本を見つめ、世界を語ろう

■■■ 第53回全国学生青年合宿教室 ■■■
日時: 平成20年8月21日(木)〜24日(日)
場所: 神宮会館(三重県伊勢市)
テーマ:「世界における日本のあり方を考える」
「国の歴史と文化をより深く理解する」
「短歌や古典を通じて豊かな感性を育む」
http://www.kokubunken.or.jp/camp/index.html
--------------------------------------------------------

■1.加害者と被害者の人権格差■

 昭和44(1969)年、神奈川県の高校一年生が同級生のAに殺
害されるという事件が起きた。Aは少年院に収容されて無償の
教育を受け、出所後、大学を卒業して弁護士になり、現在は裕
福に暮らしている。一方、殺された高校一年生の母親は年金頼
みの苦しい成果を強いられているが、Aからは謝罪も賠償もな
い。Aは母親に対して、「お金がないのなら貸してやる。印鑑
証明と実印を持って来い」と言い放ったという。[1,p157]

 人権を十二分に保護されている加害者と、人権を無視されて
いる被害者との矛盾を端的に表している実話である。このほか
にも加害者と被害者の人権格差には、様々なものがある。

1) 加害者は少年院や刑務所で衣食住を保証され、病気に
なったら、治療もただで受けられる。被害者は犯罪被
害の治療でさえ、自分で支払わねばならない。

2) 加害者は刑事裁判で有罪となっても、被害者から民事
訴訟で訴えられない限り、慰謝料支払いや損害賠償を
しなくとも良い。

3) 加害者は国の費用で弁護士をつけて貰い、法廷で被害
者に責任を押し被せるような発言もできる。被害者は
何の発言権もなく、傍聴席でじっと聴いていなければ
ならない。

4) 加害者はマスコミでの氏名や写真などの公開をプライ
バシーの侵害として拒否できる。被害者にはプライバ
シーもなく、実名・写真報道される事が多い。

5) 刑期を終えた加害者は出所しても、前科者として周囲
に知らされることがない。逆に、被害者の方は加害者
の出所も住所も知らされないので、いつお礼参りに来
られるのか、怯えていなければならない。

 幸い、犯罪被害者たちの運動により、こうしたひどい状況は
是正されつつあるが、人権派と呼ばれる抵抗勢力が加害者の人
権のみを守ろうとして、被害者の人権を踏みにじっているとい
う傾向はまだまだ根強い。こういう不正義を少しでも無くして
いくためには、一般国民がこの問題をよく知ることが必要であ
る。今回は、この問題を掘り下げてみよう。

■2.犯罪加害者のための完璧な福祉社会■

 まず経済面での加害者天国ぶりを見てみよう。

 我が国の犯罪加害者への支出は年間354億円に上る。それ
に対して被害者への支出は11億3千万円と、30分の1に過
ぎない。

 354億円の内訳は以下の通りである。[1,p27]

・国選弁護士費用 75億7千万円(平成17年度決算)

 矯正収容費(平成18年度予算)として

・食料費   165億7千万円
・代用監獄内での被告人の食料費等 85億2千万円
・被服費    12億2千万円
・入浴費用    5億円
・医療費     9億6千万円
・受刑者就労支援 1億7千万円

 この他に刑務所や少年院の施設費を「住居費」として考えれ
ば、「衣食住・医療・教育」までの完璧な福祉社会が犯罪加害
者には約束されているのである。

■3.国費を食い物にする人権派弁護士たち■

 国選弁護士費用は、トンデモない弁護士への報酬も含まれて
いる。オウム真理教の松本智津夫の審理では、国選弁護士が重
箱の隅をつつくような枝葉末節の尋問を繰り返して訴訟を意図
的に遅延させ、第一審判決が出るまでに8年近くかかった。こ
の間に弁護士たちは国から4億円以上の報酬を得ている。[a]

 また山口県光市母子殺害事件は、18歳の加害者が若い母親
の首を絞めて殺した上でレイプし、11カ月の乳児を床に叩き
つけて、用意していた紐で絞殺するという残忍な犯罪だった[b]。
加害者は一度は「生涯かけて償いたい」と涙ながらに述べてい
たが、最高裁では一転して「被害者を姦淫したのは、生き返ら
せるためだった」などと荒唐無稽な供述を展開した。これも弁
護人らの差し金だろう。

 この弁護人2名は、弁論期日に「日本弁護士連合会の裁判劇
のリハーサルがある」ことを理由に裁判を欠席して延期までさ
せている。被害者の遺族7人は、裁判に出席するために、仕事
を休み、旅費・宿泊費を払って、上京していたのである。遺族
の本村洋さんは「弁護人のとった行動は被害者遺族を侮辱して
いるだけでなく、法を信じている国民をも侮辱していることだ
と思います」と述べた。

 もちろん国選弁護士の大部分は職務に忠実な人たちだろうが、
ごく一部の人権派弁護士たちは好き勝手に裁判を引き延ばして、
国費を食い物にしつつ、加害者の刑を少しでも軽くしようと画
策しているのである。

■4.加害者の衣服費よりも少ない犯罪被害者等給付金■

 一方、被害者が受け取れるのは、犯罪被害者等給付金11億
3千万円(平成17年度支給裁定額)で、加害者の衣服費にも
満たない金額である。

 一家の大黒柱が殺されても、遺族に支払われるのは最高でも
1573万円で、平均は4百万円余り。特に被害者が20代、
30代の場合には子どもがいても、5百万円程度しか給付され
ない。自動車事故での死亡には遺族給付として3千万円が支払
われるが、これに比べれば、あまりにも低い。

 加害者の医療費は9億6千万円。被害者を襲った際に怪我し
ても、警察は病院に連れて行ってくれて、ただで治療してくれ
る。さらに留置所や刑務所で病気をすれば、これまた全額無料
の治療を受けられ、入院が必要な場合は、医療刑務所に入るこ
とができる。

 これに対して、被害者の方はどうか。平成11年9月、東京
の池袋で娘さんが通り魔に殺された事件が起こった。娘さんは
救急車で病院に運ばれ、4時間後に亡くなったが、その間の治
療に要した費用約170万円の請求書が遺族に送付された。娘
さんを奪われた上に、こんな請求書を受け取った遺族の気持ち
はいかばかりだったろう。

 平成9(1997)年に神戸で起こった児童殺傷事件では、加害者
の「少年A」には、精神科医たちがチームを作り、莫大な費用
をかけて「更正」に向けた取り組みがなされた。その一方で、
被害児童の兄は、大変なショックを受け、医師による治療を必
要としたが、その莫大な費用は自前で払わねばならない。

 しばらく前から、被害者の治療費は国から給付されることに
なったが、それも一年が限度であり、後遺症が残っても、リハ
ビリ費用や介護費用は被害者の自己負担である。

■5.加害者の損害賠償はわずか10%■

 現代日本における刑事裁判とは、法を犯した加害者の「更正」
のために刑期を課すという「教育刑」の思想[c]に立っている
ので、そこに被害者の救済という発想はない。

 だから被害者が加害者に賠償を求めようとすると、自ら別の
民事裁判を起こすしかなかった。そのための証拠は自分で集め
なければならず、また刑事裁判での公判記録を使うためには、
裁判所に申請して、自分でコピーしなければならない。

 さらに、裁判所に提出する訴状の作成や、裁判での相手方へ
の尋問などは、弁護士に依頼せざるをえないので、多額の費用
がかかってしまう。

 加害者の中には、刑事裁判の法廷では「被害者には大変申し
訳ないことをしました。深く反省しております。必ず賠償いた
します」などと言いながら、その後の民事裁判では、責任を否
定して損害賠償を拒否する人間も少なくない。

 この費用と手間に、民事裁判を諦めて、泣き寝入りする被害
者がほとんどである。平成11年犯罪白書によれば、殺人、傷
害致死等で生命を奪われた被害者の遺族が、加害者から損害賠
償を受けた割合はわずか10%に過ぎない。

■6.「損害賠償命令制度」■

 平成18(2006)年に成立した「損害賠償命令制度」は、この
点の改善を狙ったものだ。これは被害者が申し立てを行えば、
刑事裁判の有罪判決言い渡し後、同じ裁判官が引き続き、刑事
裁判での証拠を利用して損害賠償の審理を行い、賠償額を決定
する。

 しかし、裁判所はあくまで「賠償命令」を出すだけで、取り
立てまではやってくれない。人を殺傷するような加害者が賠償
命令に素直に従わないケースは少なくないだろうし、そんな
恐ろしい加害者に対して、取り立てに立ち向かえる勇気ある被
害者がどれだけいるだろう。

 振り込め詐欺などでは、犯人の収益を国が没収、追徴し、被
害者に支給する「被害回復給付金制度」が創設されたが、一般
犯罪についても同様に「賠償命令」を国が実行して取り立てて
くれる制度が必要だろう。

 こうした制度が成立すれば、冒頭に紹介した息子を亡くした
母親も、弁護士Aから相応の賠償を受け取ることができる。そ
れが社会正義というものではないか。

■7.法廷で黙って聞いているしかない被害者■

 犯罪被害者の人権が無視されていた、もう一つの重大な点は
裁判で被害者は自ら意見を言えないことだ。

 加害者は国民の税金で弁護士がつき、黙秘権もあれば、被害
者に責任を追わせるような発言もできるが、被害者やその遺族
は傍聴席で黙って聞いているか、「証人」として聞かれたこと
だけに答えるしかない。

 平成9(1997)年10月、山一証券を恐喝して有罪判決を受け
た男が、山一証券の代理人だった岡村勲弁護士を逆恨みして、
殺害しようと自宅を訪れ、応対に出た夫人をサバイバルナイフ
で殺害する事件が起きた。

 この加害者は、法廷で「(殺された)夫人が突然、飛び掛かっ
てきた。1メートルくらい吹っ飛ばされた。それでとっさに刺
してしまった」「殺さなければこっちがやられると思った」な
どと発言した。傍聴席でこんな発言を黙って聞いていなければ
ならない被害者遺族の思いは察するに余りある。

 平成12(2000)年10月、横浜市で女性が元同級生に殺害さ
れた事件では、被告人が法廷で遺族に向かって「お前ら(家族)
が娘(被害者)を迎えに行かなかったから娘は殺されたんだよ」
と言い放ち、被害者の母親が自殺するという事件も起きている。

■8.被害者の裁判参加■

 平成19(2007)年6月に成立し、本年12月までに施行され
ることになっている「被害者参加制度」で、この点は大きく改
善されるだろう。被害者は裁判長の許可を得た上で「被害者参
加人」として、検察官に並んで座り、被告人に質問したり、最
終意見陳述ができるようになった。

 これによって被害者遺族が加害者に「なぜ自分の妻を殺した
のか」などと質問することができる。また自分たち遺族が事件
をどのようなつらい思いで受け止めたのか、語ることによって、
加害者に自分の犯した罪の重さを実感させることができる。加
害者の真の更正のためにも、これは効果的だろう。

 ただ充分な法律知識のない被害者が法廷に参加したとしても、
有効な質問や陳述ができるとは限らない。そこで被害者の代理
人として弁護士が隣に座って、被害者に代わって質問したりす
ることができる。

 しかし弁護士を雇う経済的余裕のない被告人も多いので、公
費で国選弁護士をつけられるよう改正案が出されている。加害
者側に国選弁護士をつけている以上、被害者側にも同様の措置
をすることが公正だろう。

■9.加害者天国を守ろうとする抵抗勢力■

 賠償命令制度や被害者参加制度は、従来の加害者天国の有り
様を改善する一歩であるが、これらは「全国犯罪被害者の会
(あすの会)」の活動によって実現したものである。

 同会の岡村勲代表(前述の夫人を殺害された弁護士)が、平
成15年7月に小泉首相に面会し、犯罪被害者の置かれている
悲惨な現状を説明したところ、小泉首相は「そんなにひどいの
か。すぐ政府と党で検討する」と約束し、議員立法のうえ、安
倍首相のリーダーシップで成立した。

 この法案には、共産党と社民党が反対し、日本弁護士連合会
が積極的な法案阻止のロビー活動を行った。反対理由として
「法廷が復讐の場になる」とか「被告人が萎縮する」「被告人
の防衛の負担が増える」などが挙げられている。

 被告人が裁判長の許可を得て、質問や発言をすることが「復
讐」になるとは、「被告人をいかに守るか」という視点でしか
考えていないからではないか。「萎縮する」「防衛の負担が増
える」も同様である。

 こうした反対について、[1]の著者・後藤啓二氏は次のよう
に述べている。

 刑事司法に携わる弁護士や刑法・刑訴法学者の多く、あ
るいは裁判官の一部は、刑事司法を国家権力と加害者の対
峙と捉え、不当な国家権力の行使から加害者を守ることを
超えて、加害者の権利擁護のみを声高に叫び、ただひたす
らに加害者の責任や刑を軽くするのが任務であるとでも考
えているとしか思えないような行動をとり、被害者をない
がしろにしてきました。・・・イデオロギー的な偏りによ
るものか、恐るべき知的怠慢によるものか、どちらかでしょ
う。[1,p5]

 このような一部専門家の「イデオロギー的な偏り」や「恐る
べき知的怠慢」を国民の健全な常識を持って、糺していくこと
が、公正で安全な国家を実現していくために必要である。
(文責:伊勢雅臣)

国際派日本人の情報ファイル より転載します。

日本への原爆投下を阻止しようとしたアインシュタイン
伊勢雅臣

■原爆開発の提案■

 1937年7月、アメリカに亡命していたアルバート・アインシュ
タインのもとに、同じくナチスの迫害から逃れてきたハンガリ
ー系ユダヤ人物理学者レオ・シラードとユージン・ワグナーが
ある情報を伝えた。

 最近になってドイツは原子力エネルギーの制御に成功した、
このままではナチスが原子爆弾を作ってしまう、というのであ
る。二人はアインシュタインに、ドイツより先に原子爆弾を開
発するようアメリカ政府に訴えてくれ、と頼み込んだ。

 アインシュタインはこの依頼に応えて、1939年8月2日にル
ーズベルト大統領に書簡を送って、原子力兵器の開発計画を立
てるよう進言した。ルーズベルト大統領はこの提案を受け入れ、
マンハッタン計画がスタートした。

 マンハッタン計画には多くのユダヤ人科学者が必死に協力し
た。ユダヤ人抹殺を進めるヒトラーが核兵器で武装して世界制
覇を成し遂げることは、想像するだに恐ろしい悪夢であったか
らだ。

■日本に原爆を落とさないよう要請■

 しかし、ドイツの敗北が確定的になり、米国政府が原子爆弾
を日本に対して使う計画を持っている、という事を知って、ユ
ダヤ人科学者達はショックを受けた。

 日本は、ナチスドイツの同盟国ではあったが、人種差別的イ
デオロギーに反対し、逆にヒトラーに追われた多くのユダヤ人
たちを助けていた。[a]

 1944年12月、ユダヤ人銀行家で大統領の親友アレクサンダ
ー・サックスは、科学者たちの代表として、適切な事前警告な
しに日本に原爆を落とさないよう要請した。大統領はそれを約
束したとサックスは主張しているが、その記録は残っていない。

 1935年3月、レオ・シラードはふたたびアインシュタインに
連絡をとり、今度は、日本に対して原爆を使わないよう大統領
に要請してくれ、と頼んだ。この時も、アインシュタインは同
意して、3月25日に大統領宛の手紙を書いて、この問題に関
してシラードの意見を聞き入れるよう要請した。しかし、ルー
ズベルト大統領はその手紙を読む機会のないまま、4月12日
に死亡した。

 この後も、レオ・シラードはユダヤ人科学者たちと力を合わ
せて、トルーマン大統領宛の請願書を2度も書いたり、大統領
顧問ジェームズ・バーンズに面会し、陸軍長官ヘンリー・スティ
ムソンに報告書を送ったりして、日本への原爆投下を中止する
よう訴えた。しかし、米国政府はそれを聞き入れることなく、
8月6日、人類最初の原爆を広島に投下した。

 レオ・シラードに代表されるユダヤ人科学者たちが、日本へ
の原爆投下をやめさせようと必死に努力を続けた事を忘れては
ならない。

■アインシュタインの思いは■

 アインシュタインはかつて日本を訪れ、

 西洋と出会う以前に日本人が本来もっていて、つまり生
活の芸術化、個人に必要な謙虚さと質素さ、日本人の純粋
で静かな心、それらのすべてを純粋に保って忘れずにいて
欲しいものです。[b]

 とまで述べて、日本を賛嘆した。その日本が、自らの提唱し
た原子爆弾によって無差別攻撃を受けたと知った時、アインシュ
タインがどのような思いを持ったか、想像に難くない。

■リンク■
a. JOG(532) 天才・ユダヤ、達人・日本(下)
〜 助け合うアウトサイダー
 人種差別の横行する国際情勢の中で、ユダヤ人と日本人は助
け合って、危機を乗り越えた。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogdb_h20/jog532.html
b. JOG(548) アインシュタインの見た日本
 アインシュタインが日本で見たもの、それは人びとが慎み深
く和して生きる世界だった。
http://archive.mag2.com/0000000699/20080518060000001.html


伊勢先生の 「国際派日本人養成講座」をご紹介します。


 言論の自由も人権も認めない中国のナショ
ナリズムの激情にどう向き合うのか?

■1.長野に林立した中国国旗■

 聖火リレーを護るべく、長野の沿道を埋め尽くした巨大な真
紅の中国国旗の林立ぶりに、多くの日本人は違和感や不安感を
抱いたことだろう。日の丸とチベット旗を持って沿道にいた中
川章さん(57)はこう証言している。[1]

 市役所近くの交差点で中国人の集団にいきなり、巨大な
中国国旗で通せんぼされましてね。若い中国人の男に旗ざ
おで左手の甲をたたかれ、小旗をもぎ取られ、後頭部に旗
ざおでズコンですよ。旗ざおといっても長さ2メートル以
上、直径3センチ以上もあるアルミ製。・・・

 70歳すぎの知人も若い女に腹をけられ、プラカードは
ビリビリに破られました。警察官が3人ほど駆けつけてく
れましたが、彼らも旗ざおで殴られていました。・・・

 結局、私は後頭部に大きなコブが残り、おまけに頸椎
(けいつい)ねんざで全治3週間。医師の診断書をとり、
警察に被害届を出しました。20人近くの仲間も頭や背中
にけがをしました。女性も老人もお構いなしです。一体こ
こはどこの国なんですか!

 自らと異なる主張をする人々に対して暴力を振るうことに何
のためらいも感じない精神構造は、およそ思想・言論の自由と
人権を重んずる近代社会にはそぐわないものである。

■2.「漢奸(売国奴)」■

 もちろん、冷静に事態を考える中国人もいる。米国デューク
大学で、チベット問題をめぐる学内対立の回避を呼びかけた中
国人女子学生、王千源さん(20)はその一人だが、「民族敗
類」(民族の面汚し)といった罵倒(ばとう)のメールや掲示
板への書き込みが殺到し、その上、個人情報がネット上で暴露
され、中国・青島の実家も、赤ペンキで「殺売国賊」(売国奴
を殺せ)と落書きされたという。[2]

「売国奴」をかつて中国では「漢奸(かんかん)」と言った。
中国での民主化運動に関わり、今は日本国内で言論活動を展開
している石平氏[a,b]は、「漢奸」「売国奴」の持つ語感につ
いて、こう解説している。[3,p73]

 漢奸とか売国奴とかはいちばんきつい罵倒語で、全人格
を否定する言葉になります。あいつは泥棒だといわれても、
泥棒には泥棒なりの人間性がある、あいつは悪いやつだと
か人殺しだとかいっても人間性まで否定しているわけでは
ない。でも漢奸となると、もう人格も人間性もまったくな
いわけです。これはお前は人間じゃないといっているのと
同じです。漢奸はキリスト教でいえば悪魔にあたるでしょ
うね。いったん漢奸だと烙印を押されると、もはや名誉回
復の可能性もなくなります。

 石平氏自身は明らかには語っていないが、「今の中華人民共
和国という国家自体に正当性がない[3,p43]」とまで公言して
いる人物だけに、現代の「漢奸」「売国奴」として、王千源さ
ん以上の罵倒が浴びせられているものと思われる。

■3.「自分が虫けらであるかのような気持ちにさせられる」■

 もう一人、祖国から「売国奴」と罵倒されている人物がいる。
韓国から来日して日韓比較文化論などを著している呉善花(お
・そんふぁ)氏である[c]。呉氏は自らの体験をこう語る。[3,p75]

 韓国では、女性に対する最悪の非難言葉として売春婦と
いう言葉が使われますが、売国奴という言葉もそれと同じ
屈辱感を感じさせる言葉になります。国を売るというと抽
象的に聞こえるかもしれませんが、韓国人には身体を売る
のと同じ感覚で響くんです。

 ・・・これは人格の否定、もうお前を人間として認めな
いということですから、何をいってもいいわけです。どん
な口汚くののしっても、相手が売国奴である限り許されま
す。私に対する非難でも、それはもう聞くに耐えない汚い
言葉がズラッと並ぶんですね。・・・

 私の場合は、私を売国奴と非難する韓国の記事などを読
んでいると、自分が何か毛虫のようになっていく気持ちに
なるんです。意識のうえでは何のやましさも感じてないの
に、自分が虫けらであるかのような気持ちにさせられると
ころが、やはり韓国人なんでしょうか。自分でも嫌になっ
てしまいます。

 日本をいろいろと知っていって、私を含めた韓国人がい
かに日本をなめていたのか、何も知らずに威張ってばかり
いたのかを思い知らされ、そこから自分なりに感じた日本
評価と韓国批判を書いていったわけですが、書けば書くほ
ど韓国で叩かれるのですね。こんな国って、ちょっとほか
にないんじゃないでしょうか。

 こんな思いまでしながらも筆を曲げない呉善花氏の節操には、
敬意を表するばかりである。

■5.「韓国には歴史観というのはひとつしかない」■

「売国奴」と罵倒されるのは、まずその国家が唯一のイデオロ
ギーや歴史観を定め、それを盲信する国民がそれへの一切の批
判を許さない所から生ずる。呉善花氏は、自らの体験に照らし
て、こう語っている。[3,p127]

 ・・・歴史にはいろいろな観点があるということを、私
は日本に来てからはじめて理解しました。だから、日本で
は韓国や中国の歴史観に賛成する意見も、堂々と述べられ
るわけです。韓国ではそれは許されないことですね。

 韓国には歴史観というのはひとつしかない。ひとつのイ
デオロギー、国家のイデオロギー、国家宗教となっていま
す。そうした歴史教育によって、ひとつの歴史観が国民の
アイデンティティを形成してしまいます。

 韓国の「ひとつしかない」歴史観は、「日韓合同歴史教科書
研究会」での韓国側の主張によく現れているとして、呉善花氏
はそれを次のように要約している。[3,p201]

1. 日本には神功皇后の三韓征伐説、任那日本府説など、
古代以来の根深い征韓論がある。
2. それは、豊臣秀吉の侵略前後に、学者たちによって朝
鮮劣等論、蔑視論へと集約され、幕末の韓国征伐論と
なった。
3. 明治初期の征韓論はそれを受けて朝鮮侵略を引き起こ
した。
4. 征韓論は現在の日韓関係にまで延長している。

 日本側の学者は韓国側から、「合同研究の大前提」として、
まずこれを認めろ、と要求されたという。これを「一つの仮説」
として、歴史的事実に照らして検証しよう、というなら、まだ
学問的態度と言えるが、これを「前提」として認めよ、という
のでは、自らのイデオロギーに従えと言っているに過ぎない。

 こんな要求を突きつけられた日本の歴史学者たちは、唖然と
したことであろう。

■6.「間違いはすべてよそがやっていること」■

「ひとつしかない歴史観」というのは、中国も同じである。
「歴史を鑑(かがみ)として」とは、江沢民や胡錦濤など中国
側が繰り返し使っている言葉だが、これに関して、石平氏はこ
う論評している。 [3,p117]

 歴史を鑑にするということは、歴史を見て今の自分たち
が間違っていることはないかと、歴史に照らして正しいこ
とをしているのかと、あらためて自分たちの今をみつめる
ことでもありますよね。でも今の中華人民共和国は、最初
から自分たちが間違っているとは思っていません。間違い
はすべてよそがやっていることで、自分は間違ってないと
思っているんですから、歴史を鑑にする必要はまったくな
いんです。

 中国が日本の「侵略」で苦しみを受けた歴史を「鑑」にする
というなら、現在の中国自身がチベットを武力侵略して同じ苦
しみを与えているわけで、まずはそれを反省する必要がある。
そんな事をおくびにも出さずに、日本政府に「歴史を鑑に」と
いうのは、中国側の「ひとつしかない歴史観」を受け入れよ、
という事に他ならない。それは学問的な歴史観というより、一
つの政治的イデオロギーに過ぎない。

■7.中国・韓国はイデオロギー国家■

 政府が「ひとつしかない歴史観」を定め、民衆はそれに従わ
ない人間を「売国奴」として罵倒する。そういうイデオロギー
的・全体主義的な風潮がなぜ中韓に強いのか、呉善花氏はこう
説明している。[3,p232]

 日本は江戸時代に地方分権のシステムが根付いていまし
たが、韓国や中国は最後まで中央集権国家の歴史でした。
そういう歴史性の違いもあって、日本は韓国や中国の全体
主義的な動きには、最初からアレルギー反応が強いように
思います。

 根本的な違いは、中国・韓国は明らかなイデオロギー国
家ですが、日本は国家や民族をまとめる中核思想や中核的
な宗教、つまりイデオロギーを持っていない非イデオロギ
ー国家だということです。国家、民族、人間の行動を貫く
基本的な考え方はこれだという、一個の大きな観念形態が
規定する原理原則をもつのがイデオロギー国家ですが、日
本はまったくそうではない。そして、そうではないという
ことが、中国や韓国にはまったく理解できないんです。

 それでも日本は現実の外交関係では、ちょっとやりすぎ
と思えるほど、相手の立場や事情を考慮しながらつきあお
うとします。しきりに理解を示そうとするんですが、相手
のほうにはそういう理解を示そうという発想がない。すで
にそこのところで、価値観や倫理観の違いによる行き違い
が出てくるんですね。

 今回の胡錦濤訪問でも、まさに福田首相の姿勢は「ちょっと
やりすぎと思えるほど、相手の立場や事情を考慮」したものだっ
た。しかし「相手のほうにはそういう理解を示そうという発想
がない」。こういう行き違いの中では、ガス田問題、毒ギョウ
ザ問題、チベット問題などに関して、本質的な議論がなされる
はずもなく、当然、何ら具体的な成果も上がるはずもなかった。

■8.ナショナリズムという反抗期■

 日本の地方分権的に対して、中韓の中央集権的という歴史的
個性の違いもあるが、もう一つは国民国家としての発展段階の
違いもある。

 意見の異なる相手を「売国奴」と罵倒する傾向は、かつての
我が国にもあった。たとえば、日露戦争の講和に賛成した『国
民新聞』の徳富蘇峰は、「売国奴」として罵られ、暴徒が社屋
に押しかけて焼き討ちを図った。[d]

 一つの国民国家が生まれ、成長していく過程では、程度の差
はあれ、こういう熱烈なナショナリズムが燃え上がる時期があ
る。それはちょうど少年が大人になる過程で、反抗期を迎える
のと同じである。

 周囲の大人たちに反抗していく過程で、自我が確立し、やが
て社会の中で自立した人間となっていく。国家もナショナリズ
ムという反抗期を経験し、それを乗り越えた段階で国際社会の
中で自立した国民国家になっていく。

 こうして成熟した国家の国民が抱く自国の個性や特長に対す
る自然な「祖国愛」とは、反抗期のイデオロギー的な「ナショ
ナリズム」とは、本質的に異なるものである。

 こうした反抗期のナショナリズムを、我が国は19世紀後半
から20世紀前半にかけて体験し、卒業したわけだが、韓国は
今、ようやく卒業しつつある段階のようだ。かつては慰安婦問
題や竹島問題が燃え上がるたびに、群衆が日本大使館を取り巻
き、日本国旗を焼くという騒動を起こしていたが、ここ数年は
そういうナショナリズム的激情はだいぶ沈静化しつつある。

 逆に中国はまさに政府が煽っている面もあって激烈なナショ
ナリズムの時代に突入しつつある。北朝鮮に至っては、中世的
専制独裁体制のもとで、国民国家の入り口にも到達していない。

 こうして東アジアの国々が異なる歴史的段階を生きている現
象を古田博司・筑波大学教授は「東アジア異時代国家群」と呼
んでいる。[e]

■9.相手に聞く耳を持たせるには■

 こういう反抗期のナショナリズムに燃える国とどう付き合っ
ていったら、いいのだろうか。呉善花氏は、自らの体験をこう
語っている。[3,p239]

 私の場合は、アルバイト先の仕事の関係で、韓国のこと
をよく知ったビジネスマン、ジャーナリスト、弁護士など
のグループがあって、そこに参加して歴史認識の議論なん
かをしたんです。彼らは私が反日韓国人であることなど一
切かまわず、自分たちの考えを隠すことなくストレートに
表現するのです。それで私の方も激しくストレートな主張
をする。ですからほとんど喧嘩になるんですが、その会の
後では必ずみんなで飲み会をして楽しく騒ぐんです。

 呉善花さんはこの人たちの考えには強く反発しながらも、彼
らが韓国の歴史や文化をよく知っており、さらに堂々と自分の
意見を述べる姿勢・態度に、ともかく聞く耳をもったという。

 韓国人なら誰でもそうだと思います。日本人は何かとい
えば衝突を避けようとして、いいたいことをあまりいわな
い。それで場をとりつくろうとして謝ったり、相手の下に
出ようと謙虚な姿勢をとろうとしたりする。これが韓国人
に不信感をもたせることになってしまうんです。・・・

 韓国人は、この人は自分の国のことをよく知っていてく
れるなあと感じ、しかも相手が堂々と自分の意見を主張し
ていると感じられると、まず聞く耳をもちますね。もちろ
んこれは出発点ですが、ここが第一のポイントだと私は思っ
ています。これは公的な場面のことですから、外交関係に
も通ずることだと思います。

 反抗期の若者がオートバイで暴走したり、弱い者いじめをし
たりしているのを、下手に出てご機嫌取りなどをしてはいけな
い。相手としっかり向き合って、「悪いことは悪い」と注意し
なければならない。それが本人の健全な成長のためでもある。
(文責:伊勢雅臣)