今週の山本先生のコラムでは、小生の未知の事についても触れていただいていて、大いに勉強にもなりました。
山本善心の週刊「木曜コラム」<第181号>2008.05.15
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時局心話會代表 山本善心
今週のテーマ
チベット騒乱の仕掛人 3月10日、チベットで大規模な反中国デモが行われたが、このデモがな
ぜ突然暴動に変化したのであろうか。商店街近くの車両は放火され、商店の
シャッターやドアが破壊される映像が世界に放映された。しかし略奪・放火
された商店で生き残った18歳のチベット人女性は、「デモ隊数人が店内で
略奪・放火したが、犯人の若い男達の言葉はチベット語ではなく中国語で
した」と述べている。
中国では70年前から、チベット暴動の火付け役は中国の特務兵士と私
服警察だと見られてきた。彼らはチベット僧侶や市民に変装し、今回と同じ
ように寺院に放火、商店を襲撃し、チベット人のデモ隊に銃の発射などを繰
り返してきた。その都度中国人が「これはダライ・ラマ法王が命令したもの
で、チベット人は諸悪の根源だ」と言ってきたが、今回の暴動と酷似してい
まいか。
中国共産党の戦略・戦術の基本は、敵側にスパイ工作員を送り込んで敵
側が暴動を起こしたかのように見せかけ、それを根拠にデモ隊に乱射する
というものだ。これらチベット事件の全貌を示す資料や記録(中国人記者・
唐達献による)が残されている。
中国人はどのような悪事を行っても自己を正当化し、謝罪や反省をするこ
とはない。いかなる事実や証拠を見せつけられても、自分たちの罪は絶対
に認めないのである。毒入りギョーザ問題でも、一部を除くすべての日本
人は「真犯人は製造元の天洋食品だ」を考えていよう。封印された製品の
中から大量の殺虫剤や農薬が出てきたという、動かしがたい事実があるか
らだ。
現地の声によると、今回の暴動は中国人がチベット人に変装して起こした
もので、座り込みで抗議した僧侶数十人に人民解放軍が発砲・暴行したこ
とが事件の発端だという。このような事態がなぜ、同じように繰り返されてき
たのか。
中国がチベットを侵略
1912年の清朝滅亡後、チベットは独立宣言を行ったが、1949年の中国
建国の2年後、人民解放軍がラサに侵攻。その後は中国共産党幹部がチ
ベットの政治制度や宗教・伝統文化に介入して、共産党思想を人民に強要
した。
その後、チベット語は仏教語とされ、学校では中国語教育を強制した。建
物や施設、道路の名前までチベット風のものは消され、中国風に塗り変え
られたとのことだ。
チベットは仏教国であり、武器を持たない平和主義、非暴力路線が国是
である。平和憲法と平和主義を掲げて自国の防衛を怠る国は必ず他国か
ら侵略される、というモデルケースに他ならない。
チベット人虐殺の歴史
ダライ・ラマ14世は70年代後半に独立要求を取り下げ、88年には公式
に独立の可能性を放棄した。ダライ・ラマの平和主義、非暴力路線、高度
な自治要求という曖昧な姿勢は国家の資格を失うもので、仏教国だという
甘えは済まされまい。
なぜチベット人は毎年のように暴動を繰り返してきたか。 『ダライ・ラマ自
伝』(文春文庫)によると、チベット蜂起に対する中国側の制裁として、磔、
生体解剖、打ち首、焙り殺し、撲殺、生き埋め、斧で引きずり回して殺す、
「ダライ・ラマ万歳」と再び連呼できないよう舌を抜くなどの残酷行為で、数
十万の人が殺されたとの記録もある。
ダライ・ラマは中国がチベット人を迫害している状況を国際社会にアピール
し、1989年ノーベル平和賞を受賞。パリ市議会から今年4月21日、パリ名
誉市民の称号が贈られた。
毛沢東は「チベットは外国」と容認
1936年、アメリカ人記者エドガー・スノー氏が延安で毛沢東にインタビュ
ーした。その中でチベット地区に長征の途中、紅軍が食糧補給や宿泊のこ
とでチベット人に世話になったとの話に及び、毛沢東は「それは我々が外国
に負っている唯一の債務だ」と述べている。さらに1945年、毛沢東は「チベ
ット民族による自立防衛力を強化せよ」と忠告した。
しかし1949年、スターリンは「チベットをわざわざ独立させて中国の(手に
入る)領土を失うべきではない」と忠告、米ソ冷戦構造という社会主義と資本
主義の陣取り合戦の中で「中国は領土問題に寛大すぎてはいけない」と中
国に勧告した。(2006年、第3期チベット大学学報の胡岩氏論文より)
後年、毛沢東の寛大なチベット政策は変更され、平和主義を国是として自
衛能力を持たない平和主義のチベットは「中国の神聖な領土」として併合さ
れた。
チベットの観光開発
チベットは中国南西部の高原地帯に位置し、ヒマラヤ山脈(平均標高40
00m以上)に囲まれている。区都ラサの自治区人口は600万人(チベット
亡命政府発表)とみられる。ほとんどがチベット仏教を信仰している。
2006年に青蔵鉄道が開通して、観光事業や不動産の乱開発が行われ、
経済的侵略と中国人の移住流入が加速。今や現地のチベット人には何ら恵
みもなく、文化、自然、宗教の生存環境が破壊により、むりやり中国に同化
された。
さらに中国政府は、1000億元の総予算でチベットに大空港と180ヵ所の
観光プロジェクトの建設を計画中だ。国内外からにわかに注目されてきた観
光と資源の開発が計画されている。
資源の宝庫と軍事基地
もともとチベットはダライ・ラマを中心とするチベット仏教の世界であったが、
「民族解放」という名の下に漢族化されつつあり、チベット語も話せない状況
になっている。中国のチベット侵略を正当化するためのごまかしとすり替え
に、世界は翻弄されるとの見方が大勢だ。
チベットは美しい自然を誇る仏教国であるが、中国は米国の主要都市や
インドを射程に収めるミサイル基地をチベット各地に点在させている。
チベットは美しい自然や環境を持つ観光資源の宝庫と期待されている。さ
らに河川や雪解けから得る美味なチベットの水は、今後中国の救世主とな
ろう。同時に豊富な天然ウランや鉱物資源(金・銀・銅)、オイルシェール(石
油を含む水成岩)など、資源は無尽蔵だ。中国にとってチベットは、自然と
資源の宝庫なのである。
聖火リレー中国旗で殴打
さて長野の聖火リレーでは、日本在住の中国人留学生が大挙して動員さ
れ、チベット人や日本人に対する暴力行為があったと聞いている。日本の警
察は、抵抗するチベット人や日本人を助けようとはしなかった。しかも日本側
にはたくさんの怪我人が出ているというのに、中国人の違法行為はあえて
見逃している。マス・メディアがこの事実を報道しないのはなぜか、インター
ネットではこの問題で抗議が殺到した。
知人のA・T氏は筆者宛に「長野聖火リレーでは日本の地でチベット人に対
する暴力と同じ無法行為が白昼堂々と行われている。こんな時こそ“人権こ
そが命、人権を守れ”と言う市民活動家の声が聞こえてこないのはなぜか」
という意見を寄せた。日本人はチベット人と同じ犠牲者だというのだ。
聖火リレーの行く先々で、聖火リレー走者と伴走する青ジャージ集団(北
京五輪に備えた特殊部隊)や、沿道を埋める中国旗と中国エキストラの異
常な光景を眼にしたものだ。すべてが中国優先、中国一色の聖火リレーで
あった。中国のやることなすこと一切に目をつむる警察の行動矛盾は、日
本の衰退現象に見える。
胡錦濤の訪日
5月8日、約10年ぶりに来日した胡錦濤国家主席の歓迎レセプションがグ
ランドプリンスホテル赤坂で行われた。これは日中友好7団体の主催によ
るものだ。胡主席は会場に15分遅れで到着したが、2000人を超える友好
団体の参加者が万雷の拍手で出迎えた。
さて、胡主席は会場で「日中関係は最も重要な二国間関係の一つ」と強
調。「日本は戦後平和国家としての歩みを堅持した」と積極的に評価した。
訪日の目的は日中関係の修復にあると考えられるが、反日デモの反省と、
日本企業の撤退防止など、日中関係の修復が中国の課題であり訪日の
目的だと強く感じられた。
しかし中国の覇権主義体質に一歩も揺るぎはない。ましてやオーストラリ
ア、北朝鮮、台湾、チベットに見られる中国の影響力と支配力という大きな
流れに、日本も呑み込まれようとしている。胡主席の対日柔軟姿勢は歓迎
するが、一方中国の覇権主義が日本国の盛衰・存亡に関わる危機も迫っ
ていよう。日本の政局は、与野党が目先の瑣末な問題で政争に明け暮れ
ているときではないと直感した。
次回は5月22日(木)