素晴らしいコメントを公表されていましたので、皆様にご紹介します。
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大分県教員採用不正事件 (相馬市長メールマガジン 2008/07/11号 No.154)
大分県の教員採用を巡る汚職事件は二重の意味で背信行為である。県教育委員
会の義務教育課参事の逮捕に続いて、当時ナンバー2だった県教育審議監まで
が逮捕され、日本中を驚かせている。
人間としての不適格な教師が定年退職するまで教壇に立って
子供たちの人格を
育てるのかと思うと、教育という神聖な分野での不正採用は、県が生涯賃金と
いう不良債務を背負わされただけではすまない話である。本人は知らなかった
からと言っても、通る理屈ではない。月給泥棒に高い金を払いながら、子供た
ちに対して道徳に欠ける教育をさせることになるからだ。
県教育長の「人間と
しての品格を養うしかない」「繰り返し研修をやるしかない」とのコメントに
は驚くしかなかった。品格の涵養とは指導者が若輩に対してすることで、教壇
に立つずっと以前の問題である。
品格が不足する教師を採用すること自体が問
題なのだ。だいたい研修で品格が養われるものか? さらに7月10日付け全国紙Y新聞の記事によれば、採用には政治家枠があったと
、複数の被告が証言しているという。また同日のNHKニュースによれば、不
正採用がシステム化されていて、ほぼ常態化しており、去年と一昨年の新人教
師の半分が贈収賄のお陰で採用されたというのだ。
一連の報道が本当ならば大分県は、議会も含め県庁ぐるみで汚職教師を教壇に
立たせていたことになるし、
研修が必要なのはむしろ県庁組織全体ということ になる。然しこんなことで地方自治への信頼が失われるとしたら、まことに心
外である。
本県でも2年前、石川町の職員採用を巡り町長と議員たちが逮捕されるという
不祥事が発生し全国ニュースになったことがあった。多分そのときは県内の首
長たち全員がいらだたしい思いをしたことだろう。職員不正採用は、公共事業
の贈収賄よりはるかに質が悪いのだ。
私が市長に当選した頃、職員採用試験を受ける親たちから盛んに接触があった
。たいてい誰かの紹介で、どうしても市長に直接お話がしたいというのだが、
不審に思って探りを入れれば採用試験を受けるのでよろしくお願いしたいとい
う内容である。なかにはいくら出したら採用してくれるか?という露骨なもの
もあった。過去においても、たぶん公正に審査してはいたのだろうが、市民の
側は職員採用には相場があると思っていたフシがある。現在の職員たちのため
にも、これから公務員を目指す若い人たちのためにも、政治家は採用試験には
一切関知しないほうがいい。事務方で粛々と進めればいいのだし、市長は関与
しないということをスピーチなどで話していけば、やがて頼みに行くものだと
いう気風もなくなる。
市長に頼んで何とか採用に便宜を図ってもらいたいという親たちを見て、もう
ひとつ悲しかったことは、東京の大学を卒業した息子さんが公務員にでもなら
なければ、故郷に帰っても適当な職を得られないという現実だった。だから旧
家のおじいさんたちが、孫の市役所就職に何とかコネを使いたいと思う気持ち
も分からない訳ではなかったが、役所だって定員がある以上合格は難関である
。役所以外の職場の提供をしてゆかないと、せっかくの教育への投資を地域や
家庭に還元することができないのではないかという気持ちが、私や職員たちを
企業誘致活動に走らせた。
その結果、理系の教育を受けた若者たちの雇用の場は揃いつつあるが、今後の
課題は文系学部卒業者の地域雇用をどう確保するかである。
コンビニなどで、支払いの際にPOSシステムがピッピッと入力しているのを見
ていると、電話回線を使った企業のWANが全国的に売れ筋や需要を解析して、
事務屋さんの手間がなくとも集計や発注までしてしまう企業の人件費削減策が
目に浮かぶ。IT社会は、事務系労働者を必要とする第三次産業から相馬の地元
の若者たちを追い出そうとしているように見えるのだ。だから公務員以外でも
、文系学部卒業者が安定した職に就けるための努力をしないと、金を使ってま
で役所にとってもらいたいと思う家族はなくならないかも知れない。
然しながらこれが教育の世界となれば、ただ単に贈収賄だけでは済まない大
罪である。
不正に採用された教師が無垢な子供たちに何を教えるのかと思うと、ここは毅
然とした態度をとってもらいたい。徹底的に捜査をして、教育委員会側の関係
者は全員解雇すべきだし、過去に不正採用された教師は研修してリサイクルな
どと言わず、即刻退職させるべきだ。新聞報道のように、もしも議員が金銭授
受に関わっているとしたら議員辞職は言うまでもない。真面目にやっている教
育委員会や地方公務員が白い目で見られないためにも、現場の教師が子供や親
たちに信頼されるためにも厳正な対応が必要である。
最近にない、腹立たしく不愉快なニュースだった。
相馬市長 立谷秀清