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論語・儒教研究の第一人者、加地伸行先生の教育論は傾聴に値するどころか、直ちに実践するに値するものばかりです。
昨日の「産経」に掲載されていました。
ご紹介します。


「祖先敬う教育を」 正論大賞・加地伸行氏が講演
 (産経 2009/4/23)


 第24回「正論大賞」(フジサンケイグループ主催)を受賞した立命館大

学教授、加地伸行(のぶゆき)氏(73)の受賞記念東京講演会が22日、

東京都千代田区のサンケイプラザホールで開かれた。



 加地氏は「日本人の忘れたもの-教育・家庭・道徳」と題して講演。持ち

前の軽妙な語り口で、戦後教育の問題点を鋭く指摘し、約600人の聴衆を

沸かせた。



 加地氏は、論語、儒教研究の第一人者。現代中国に関する鋭い分析や「日

本語」を題材とした幅広い評論活動が高く評価され、第24回正論大賞を受

賞した。



 講演で加地氏は、戦後の日本の教育が本来、日本人の文化や伝統とは合わ

ない「欧米流の考え方」を取り入れてしまったことに大きな問題があったと

指摘。



 「(欧米人の)『自由』や『個性』の概念は『神』という抑止力があって

こそ成り立つ。それがないと、単なる利己主義になってしまう。われわれの

抑止力は『祖先』で、祖先を敬う考え方が残っているのは東アジアだけ。今

こそ日本人に合った教育を取り戻すべきだ」と述べた。

           ◇

 ■講演要旨


 日本の戦後教育は「欧米のものまね」だった。だから日本人には合わない

ところがある。フランス革命が教えた「平等」なんて、学校で言うから子供

たちの苦しみが始まるのだ。



 東アジアには東アジアに合った教育があった。人間をどう見るか、人間に

合うようにどう教育していくか。それを体系化したのが儒教だった。実は儒

教は、「人間平等」なんて思っていない。1、2割は優秀だが、あとはボン

クラというのが儒教の人間観だ。



 だが、今の学校は「みんな優れている」「個性がある」という。儒教は優

秀な人は相手にしない。優秀な人は自分で切りひらく。ボンクラをしっかり

教育しようというのが儒教だ。難しいことは教えないで、大事なことをしっ

かり教えよう。だれもが学び、理解できることを教える。それが「型」なの

だ。学校の大切な役目は「型」を教えることにある。大半の人は型を教えな

いと、どうしていいのかわからないからだ。わけもわからないままに社会に

でてから困る人がどれほど多いことか。



 「平等」「自由」もまた問題だ。本来は欧米の思想であって、(戦後教育

では)教え方がまちがっている。自由というのは欧州では、自分で自分を律

する(自律)。自分で律することができなかったら自分で立つ(自立)こと

ができない。立てば自己責任が出てくる。これができてはじめて個人主義が

成り立つ。



 なぜ欧米人にはそれが可能なのかというと、抑止力をもっているからだ。

「神」が許さないのだ。欧米人には、唯一、絶対、最高の「神」が抑止力と

してあるが、わが国にはそこが抜けている。それがないまま「個性」や「自

由」を教えると、単なる利己主義になってしまう。



 われわれにもかつては抑止力があった。東アジアの人間に共通する「祖先」

だ。中東の地域ではユダヤ教やキリスト教、回教の一神教が生まれたため、

祖先を敬うような考え方にはならなかった。祖先崇拝の大切さが残っている

のは東アジアだけなのだ。



 日本のお盆の迎え火や送り火もお釈迦様ではなく、ご先祖様だ。昔、空襲

のとき、母はご本尊よりご先祖の位牌(いはい)をもって逃げようとした。

それが日本の仏教なのだ。



 教育学者や心理学者は家庭や親子関係の問題で、「もっとコミュニケーシ

ョンをとれ」というが、われわれ日本人はそんなことが苦手。それよりも仏

壇の前で家族で一緒に手を合わせたほうがいい。
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