実態のない空気に流されて、上海進出の森ビル
資金回収も実現の保障なし
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」より転載しています。
空室率55%、最悪のタイミングでの開業となった上海森ビル
ところが隣には早くも香港華僑の世界最大のビル建設が決まり
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ツキに見放されたのか。
森ビルは上海に中国最大の金融センタービルを建設し、8月30日には展望台(100階)をオープン、世界のマスコミの話題となった。
森ビルは「六本木ヒルズ」の成功を模して、このビルを「上海ヒルズ」と銘々。中国の当局から「まかり成らぬ」とお達しを受け、「上海環球金融中心」(SWFC)とした。
北京五輪直後のセレモニーなんぞ上海っ子の「北京、なにするものぞ」という密かな意気込みが出ている。
もともと浦東の陸家嘴地区を「中国のウォール街」に作り替えようと、摩天楼のなかの摩天楼、雲を突くような高層ビルを三つ並べて「品」の形を描く、一大金融センターの建設は93年から設計されてきた。
「品」の最初の一角をしめた「金茂ビル」は88階建て、展望台は上海観光の目玉とされてきた(筆者も二回、この展望台に登ったことがあるが、上海をパノラマで展望できる)。
54階から87階はグランドハイヤット・ホテル。上海で一番高いホテル。一杯のコーヒーでも150元(帝国ホテルの二倍)。
弐番目の「品」の一角が、森ビルである。
94年に建設が始まったが97年のアジア通貨危機のあと、地盤沈下も激しく、基礎工事を終えて六年間も店ざらし。
この間、六センチ沈み、さらに台北に[taipei01]ビルが店開きなどで、たびたびの設計変更が伝わった。
そして、昨秋からは世界的なサブプライム危機で、金融業界が大幅な業務縮小。上海株式はピークから63%の大暴落を演じている最中に開業となった。
シティもレーマンも世界的規模で数千人の首切り、ウォール街はすでに10万名がレイオフの憂き目にあった。
上海だけが金融で繁栄するというシナリオはあり得まい。
▲サブプライム危機がなんだと開発をやめない上海金融街
2010年に上海万博を控える上海は、それでも開発をやめない。
「品」というかたちの町作り、最後の仕上げは「上海センター」。高さ680メートルという説もある。
誰が? 香港最大財閥の一人「サンホンカイ」が、この最高層ビルを建てるが建設面積が実に55万平米(上海森ビルの2・5倍)。
森ビルSWFCの面積は22万平米、オープンに際し、一平米=20元の賃貸料を決定したが、このレンタル料金は周囲の二倍。
これほど高くて、いったい誰が入居するのか?
三菱UFJは入居せず、三井住友など、日系企業は九社、ほかに欧米企業六社。じつに空室率55%(9月8日現在)。
もしSWFCが満室となって、現行の賃貸料金システムでも、回収は12年後。ところが空室率が高く、ダンピングも当然予想されるから、投資資金の回収は四半世紀が必要かもしれない。
森ビルは見放された?
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